進路指導部から

総合型選抜・学校推薦型選抜について

 6月30日に「第28回大学入試のあり方に関する検討会議」が開催され、提言の案が会議資料として配布されました。このなかで、総合型選抜・学校推薦型選抜を今後も推進すべきことが述べられています。総合型選抜・学校推薦型選抜は一般選抜と比較して、評価に一定の時間を要する選抜方法(面接・口頭試問・小論文試験等)を実施しやすいなど、志願者と大学とのより良いマッチングにもつながる、としているという考えに基づいています。

 ところが、AO・推薦入試に関する実態調査の結果、小論文、口頭試問、プレゼンテーションなどの選抜が必ずしも広く行われていない状況があるとのことです。その理由について、選抜に手間をかけることが可能かどうかを考えるために、一般選抜における記述式問題の出題状況を見てみます。提言案では、このことについて、国公立では81.6%であるのに対し、私大では54.1%にとどまるのが現状であると述べています。一般に私大では受験生が多く、採点時間と人材の確保に難しい面があるとのことです。こうした状況が、推薦入試への対応にも当てはまるのではないでしょうか。

 今後も、総合型選抜・学校推薦型選抜の理想を追求して入試改革を進めていく必要はありますが、その理想どおりの選抜は実施が難しいのが現状です。どのような選抜が行われるのかをしっかり見極め、単に早く進路を決定したいという動機だけから安易に推薦入学を目指すのは、現状では勧められないという理由はここにあります。