進路指導部から

2021年9月の記事一覧

大学の定員充足率

 28日の日本経済新聞電子版に「私大定員割れ、全体充足率は初めて100%下回る」という記事がありました。

 今春の私立大学の定員総計は約4千人増えた一方、18歳人口は2万6千人減り、総入学者は9600人減ったそうです。全国に私立大学は597校ありますが、277校で定員割れをしているとのこと。46.4%の大学が定員を満たしていないことになります。

 進路指導室を訪れる大学の担当の方のお話を伺うと、学生募集に強い危機感を持っていることがわかります。総合型選抜、推薦入試は、面接、ディスカッション、論文などに手をかけて入試を行い、学力試験だけでは測れない活動歴、人格、意欲、職業観などを総合的に選抜する入試です。もしも一部の大学が、秋のうちに学生を確保したいという思惑だけから入試を実施するとすれば、志望校はじっくりと考える必要があります。

 国立大学入試は3月まであります。私立大学も3月になっても募集をするケースがたくさんあります。早く進路を決定したいという思いだけで受験に臨んでしまうことのないように、粘り強く勉強をしましょう。

ポジティブな物語

 早稲田大学に、作家の村上春樹さんの著作や資料を集めた国際文学館(村上春樹ライブラリー)が開館することとなりました。開館を前に行われた村上春樹さんの記者会見に関する記事が28日の読売新聞にあります。

 村上さんは「今の若い人は自分の未来について、ポジティブな物語を作れているのか。」「僕らが若い頃には、頑張って努力すれば世の中はよくなるという共通認識があった。」と語っています。そして「いつの世の中でも理想はあるべき。」とも話しています。

 確かに現代は、高度成長期のような未来への希望を描ける時代ではありません。しかし、若者のエネルギーの強さは今も昔も変わらないはずです。むしろ現代のほうが、次の時代にむけて解決すべき課題は山積しているといえます。生徒諸君が未来について語れば、おのずと勉学への意欲がわいてくるはずです。国際文学館の基本理念として村上さんが寄せた言葉です。<物語を拓こう、心を語ろう>