進路指導部から

2021年7月の記事一覧

大学入試のあり方に関する検討会議提言より

 先日、検討会議で提言(案)が示されたことをお知らせしましたが、7月8日にこの提言が公表されました。このなかで、大学入試に必要な科目について以下のように述べられています。

 経団連と大学関係団体による「採用と大学教育の未来に関する産学協議会報告書」では、文系・理系を問わず大学で身につけるべきリテラシーとして、「外国語コミュニケーション能力」「数理的推論・データ分析力」「論理的文章表現力」が挙げられている。また、令和3年度入試からいわゆる文系学部で共通テストにおいて数学を課す改革が行われた例もあった。と指摘しています。

 この提言は、特に社会科学系学部で数学を入試に課さないことによって、学生の数理的推論・データ分析力が不足している実情があることを指摘しているものです。今後、文系学部で数学を入試で必修にするような働きかけがあるのかもしれません。

 まずは数ⅠAをしっかり学ぶことが大学進学には必要です。数学から逃げずにこつこつ勉強を積み重ねていきましょう。

女子中高生のための東大工学部紹介

 東京大学から、女子生徒を対象とした工学部紹介(Tech Girl Meetup2021.pdf)がオンラインで開催されるというお知らせをいただきました。7月10日(土)の午後、東大工学部の教授や女子学生のお話を聞き、談話会が開催されるとのことです。


 詳しくは、東京大学オープンキャンパス特設サイトにアクセスしてください。

総合型選抜・学校推薦型選抜について

 6月30日に「第28回大学入試のあり方に関する検討会議」が開催され、提言の案が会議資料として配布されました。このなかで、総合型選抜・学校推薦型選抜を今後も推進すべきことが述べられています。総合型選抜・学校推薦型選抜は一般選抜と比較して、評価に一定の時間を要する選抜方法(面接・口頭試問・小論文試験等)を実施しやすいなど、志願者と大学とのより良いマッチングにもつながる、としているという考えに基づいています。

 ところが、AO・推薦入試に関する実態調査の結果、小論文、口頭試問、プレゼンテーションなどの選抜が必ずしも広く行われていない状況があるとのことです。その理由について、選抜に手間をかけることが可能かどうかを考えるために、一般選抜における記述式問題の出題状況を見てみます。提言案では、このことについて、国公立では81.6%であるのに対し、私大では54.1%にとどまるのが現状であると述べています。一般に私大では受験生が多く、採点時間と人材の確保に難しい面があるとのことです。こうした状況が、推薦入試への対応にも当てはまるのではないでしょうか。

 今後も、総合型選抜・学校推薦型選抜の理想を追求して入試改革を進めていく必要はありますが、その理想どおりの選抜は実施が難しいのが現状です。どのような選抜が行われるのかをしっかり見極め、単に早く進路を決定したいという動機だけから安易に推薦入学を目指すのは、現状では勧められないという理由はここにあります。