進路指導部から

2021年5月の記事一覧

新聞を読むこと

 生徒にはいつも新聞を読むことを勧めています。もちろん社会科学系学部へ進学する生徒は必須なのですが、それ以前に読解力を向上させるのに効果的だと考えているからです。自分の周囲で起きていることを題材に、簡潔な文章を読んで大意をつかむこと。社説であれば、記者の考えを読み取ること。できれば他紙と読み比べて主張の違いを考え、読んで理解したことを人に説明する(アウトプットする)ことが力をつけるコツです。

  ところが、近年は新聞を購読しない家庭が増えているようです。日本新聞協会の統計によると、全国の一般紙の発行部数は、2000年は47,401,669部、2010年は44,906,720部、2020年は32,454,796部だそうです。2000年を1とすると、2020年は0.95、2020年0.68と、この20年で3分の2まで落ち込んでいます。

  必要な情報はスマホで検索をすればよい、という考え方もあります。しかし社会体験の少ない高校生には検索力がないのです。新聞を広く広げ、様々な見出しをみることで、関心をもっていなかった分野の記事も目に飛びこんでくる。これはスマホにはできないことです。

  学校の図書館でも全国紙各紙をおいていますが、ご家庭でも新聞を読み、記事について語る環境が高校生の成長には不可欠と考えています。保護者の皆様、ご一考ください。

部活動との両立

 コロナ禍のもと、部活動にも様々な制約があるなか、今年もたくさんの生徒が関東大会出場権を獲得しています。3年次生の保護者の皆様には、なかなか受験勉強に専念できない状況にご心配のことと存じますが、学校でも日頃の授業に加え、朝学習、土曜講習とこつこつ勉強を積み上げさせる指導をしております。
 経済産業省の『人生100年時代の社会人基礎力』や経済同友会の『これからの企業・社会が求める人材像と大学への期待』といった提言を読むと、クリティカルシンキング、価値観の異なる相手を思いやりながら共に学ぶコミュニケーション力、メタ認知力などがこれからの若者に求められていることがわかります。
 こうした力は部活動の場面で鍛えられることが多いものです。生徒の皆さんには、朝勉、昼勉、電車勉と隙間時間の工夫をしながら、部活動をやり抜いてほしいと願っています。保護者の皆様にも、この点についてご理解をいただき、見守ってくださいますようお願い申し上げます。

推薦入学は慎重に

 進路指導室には連日たくさんの生徒が相談に来ています。
 そのなかに、「本校を指定校にしているのはどんな大学ですか。」と聞いてくる生徒がいます。「第一志望校はどこですか?」と聞くと「まだわからないんです。」という人がたまにいます。
 推薦入学ははっきりとした第一志望の人が受験するものなのですが、大学を選ばず、指定校で早く進路を決めたい、と考えているようです。なかには、両親から「指定校で進学しなさい。」と言われている、という人もいます。
 文部科学白書によると、平成28年度当初に大学に入学した人は618,423人ですが、その4年後の令和元年度に卒業した人は572,639人です。入学した人の92.6%が卒業したということです。その差7.4%の多くはドロップアウトと思われます。
 大学に入学してみたら、想像していたのと違ったな、と思うことは必ずあります。それでも頑張って大学を卒業するためには、志望理由を考え抜いてしっかり勉強したうえでないとモチベーションを保つのは難しいということでしょう。
 もちろん、しっかりとした第一志望であればぜひ推薦入試にもチャレンジしてほしいのですが、安易な推薦入試は生徒にはいつも戒めています。保護者の皆様にもこの点をぜひご理解くださいますよう、お願いいたします。