進路指導部からのメッセージ
夏の8週間
進路指導室では3年次生の二者面談を進めています。ここで生徒に話しているのは「夏の8週間」を具体的な計画を立てて受験勉強をすること、です。
夏休みは7月21日から8月26日までの37日間です。しかし1学期末には、期末考査最終日から終業式までの2週間は自分の計画に沿った勉強ができます。これと2学期当初の授業が軌道に乗るまでの期間を合わせて8週間の勉強計画を立てるよう勧めています。
志望校とのギャップを着実につめるためには苦手科目を克服することが近道です。夏の重点科目の勉強量を見定め、これを8週間で割り、1週間、1週間目標に近づいていくことを実感できるよう具体的な計画をたてることが重要です。
生徒たちが目標にむけて夢を持って努力を積み重ねることを期待しています。
文理分断からの脱却
この時期、たくさんの生徒が次年度の選択科目をどう選んだらよいか、進路指導室に相談に来ています。志望学部に応じたアドバイスをしていますが、生徒の本音の部分で文系が数学を遠ざけ、理系が古典を敬遠する様子に暗澹たる気持ちになります。
文科省は『Society5.0に向けた人材育成』で文系、理系を分けて学ぶのではこれからの時代を生き抜く人材を育成できないことを指摘しています。名古屋大学の隠岐さや香先生の分析によると、なぜ文理分断が起きたのかといいうと、明治日本が近代化を急ぐために法学と工学を重視し、それぞれの専門分野に特化した大学制度を設計した。しかしそのために、日本の教育制度には高校生の時に文系、理系を選択することで生涯を規定してしまう傾向がある、と警鐘を鳴らしています。専門分野は大学院に行ってからでもよい、とも発信しています。
本校では、文系・理系を分けるのは3年生になってからとし、3年生の夏までは模擬テストでは3教科+1教科以上を受験させています。大学進学のための受験科目だけに絞ってしまうのではなく、すべての教科をバランスよく学んでほしいからです。
新聞を読むこと
生徒にはいつも新聞を読むことを勧めています。もちろん社会科学系学部へ進学する生徒は必須なのですが、それ以前に読解力を向上させるのに効果的だと考えているからです。自分の周囲で起きていることを題材に、簡潔な文章を読んで大意をつかむこと。社説であれば、記者の考えを読み取ること。できれば他紙と読み比べて主張の違いを考え、読んで理解したことを人に説明する(アウトプットする)ことが力をつけるコツです。
ところが、近年は新聞を購読しない家庭が増えているようです。日本新聞協会の統計によると、全国の一般紙の発行部数は、2000年は47,401,669部、2010年は44,906,720部、2020年は32,454,796部だそうです。2000年を1とすると、2020年は0.95、2020年0.68と、この20年で3分の2まで落ち込んでいます。
必要な情報はスマホで検索をすればよい、という考え方もあります。しかし社会体験の少ない高校生には検索力がないのです。新聞を広く広げ、様々な見出しをみることで、関心をもっていなかった分野の記事も目に飛びこんでくる。これはスマホにはできないことです。
学校の図書館でも全国紙各紙をおいていますが、ご家庭でも新聞を読み、記事について語る環境が高校生の成長には不可欠と考えています。保護者の皆様、ご一考ください。
第1回推薦入試説明会(3年次対象)
中間考査終了後に、
3年次対象(希望者)第1回推薦入試説明会を実施しました。
大ホールにて
部活動との両立
コロナ禍のもと、部活動にも様々な制約があるなか、今年もたくさんの生徒が関東大会出場権を獲得しています。3年次生の保護者の皆様には、なかなか受験勉強に専念できない状況にご心配のことと存じますが、学校でも日頃の授業に加え、朝学習、土曜講習とこつこつ勉強を積み上げさせる指導をしております。
経済産業省の『人生100年時代の社会人基礎力』や経済同友会の『これからの企業・社会が求める人材像と大学への期待』といった提言を読むと、クリティカルシンキング、価値観の異なる相手を思いやりながら共に学ぶコミュニケーション力、メタ認知力などがこれからの若者に求められていることがわかります。
こうした力は部活動の場面で鍛えられることが多いものです。生徒の皆さんには、朝勉、昼勉、電車勉と隙間時間の工夫をしながら、部活動をやり抜いてほしいと願っています。保護者の皆様にも、この点についてご理解をいただき、見守ってくださいますようお願い申し上げます。