進路指導部からのメッセージ
志望校と併願校
先日、生徒から「私の第一志望校は国立〇〇大学の〇〇学部ですが、私大の併願校はどのように考えたらいいのですか。」という質問を受けました。
国公立大学を第一志望にあげるのであれば、まずは国公立大学の第ニ志望を考えましょう。せっかく国公立をめざして6教科受験勉強をするのであれば、前期・後期の両方に出願しなければもったいないですよね。第一志望校の前期試験と、第ニ志望の後期試験という組み合わせを考えるべきです。その際、地方の国公立大学を考慮に加えると選択肢がぐんと増えます。
そして、私大を考える際には「タテ型」受験をすべきです。難易度の高い憧れの大学ばかり受験しても、うまくはいかないことが多いでしょう。「挑戦校」「相応校」「堅実校」とタテに検討することが重要です。浪人を辞さないのであれば「挑戦校」ばかりを受験することはあり得ますが、あまり勧められません。
文系と理系
新入生はさっそく次年度の選択科目を考えなくてはなりません。学校は、7月には次年度に必要となる教科書の数を報告しなくてはならないからです。このため、6月の三者面談で次年度の選択科目を保護者を交えて確認し、その後微調整を進めることになります。
入学して間もないのにこうしたことを決断しなくてはならないのは大変ですが、卒業後の進路を早くから考えることは重要です。その際に自分が理系なのか文系なのかを考えることがとっかかりになります。実は、理系と文系にわけることは学問分野の在り方として正しいこととは言えないのですが、便宜上これを手掛かりに考え始めざるを得ません。
その際、消去法で選ぶことは禁物です。この教科が苦手だからこっち、という判断ではなく、この教科をもっと学びたいからこっち、という選び方をしてください。ここで消極的選択をしてしまうと、皆さんの未来はしぼんでしまいます。もし、迷ったら、いつでも進路指導室に相談に来てください。
今春の卒業生の頑張り
今春の卒業生は、国公立大学に57名合格しました。
埼玉大学23名、県立大学5名、外語大3、信州大3,東北大2、電通大2、千葉大2、富山大2のほか、筑波大、お茶の水女子大、農工大などに合格しました。特に中期・後期募集まで頑張って合格した人が7名いたのは立派でした。詳しい統計ができ次第、HPでお知らせします。
次年度、挑戦する生徒たちにも大いに励みになります。
夏休みを前に
期末考査も始まりました。これを終えれば3年次生はいよいよ夏の勉強計画です。
考査後も終業式まで2週間近くあります。これと夏休みを合わせて8週間の勉強計画を立てましょう。
これまで計画を立案しても、計画どおり達成したことはありますか。計画を立てるときばかり力が入ってしまい、計画倒れになってしまう、というのはありがちなことです。これを防ぐためにはどうしたらいいでしょう。
勉強計画を「絶対やりとげる」ものと「ゆとりがあったらやる」ものに分け、前者だけを計画に盛り込んでみてはどうでしょう。「絶対やりとげる」ものは内容を精選し、欲張らないようにします。これを1週間のうち6日間にあてはめます。万一計画どおりに進まなくても、7日目には必ず1週間計画を完結します。少ない計画でもこつこつ8週間積み上げるとなかなかの量になるものです。そして、毎日やるべき勉強が決まっていればともかくも朝から机に向かえます。計画した勉強をやり終えて、さらに「ゆとりがあったらやる」勉強の計画を大まかに描いておき、積み上げていくことで達成感を自覚しながら勉強を進めます。
考査が終わるや否や夏休みの計画に着手し、この8週間の勉強時間が500時間を超えるのを目標に、今から方針を練っておきましょう。
面白すぎる研究会
日本史家の磯田道史先生は、各メディアで大活躍されていますが、読売新聞にも定期的に文章を寄せられています。先日「面白すぎる共同研究会」という記事が掲載されていました。テーマは「口と鼻―人体と外界の接合域の日本文化史」とし、各分野の研究者を集め、文系理系を問わない研究をしようしています。医療人類学、環境史学、菓子史、感染症史そして薫香料分析や薬理研究に強い関心を持つ小説家が集って日本文化史を解明しようというのです。
岸田内閣は「教育未来創造会議」を設置し、日本の教育の将来について提言をしようと議論を進めていますが、5月の会議録を見ると「文理横断教育の推進」ということが強調されています。これからの時代に対応する人材は、文系・理系という分野を超えた発想を備えていなくてはならない、と。
皆さんは教育課程の便宜上、文系・理系を分けて科目を選択していますが、大学受験に向けて受験科目を絞って勉強しようという態度では、新しい時代を担う勉強はできません。5教科まんべんなく学ぶ力強い意欲をもって、勉強を充実させてください。
部活を引退したら
6月を迎え、そろそろ3年生が引退をする部も出始めました。部活をやりきった人は、ここで気持ちを切り替えて本格的な受験勉強を始めることができます。これまで部活に向けてきた時間を勉強時間に変え、部活を通じて培った気力をもってあたれば、今後ずいぶんたくさんの勉強ができそうです。
ところが、部活を引退したものの、なかなか受験生に気持ちを切り替えることができないケースがあります。夕方明るいうちに帰宅してもすぐに机に向かうことができなかったり、何から手をつければよいかわからないまま、毎日を過ごしてしまうことがありがちです。
そういう場合は、放課後に学校の自習室に残って勉強をしてはどうでしょうか。後輩が部活動をやっている時間に、自習室で勉強をすれば、間違いなく部活に向けていた時間を受験勉強に向けることができるはずです。また、これから自分が取り組む勉強の見通しを立てて計画的に進めることも大事です。1学期末までを計画に従って勉強を進め、「計画力」を身につけて夏休みを迎えることができれば成功です。
勉強計画の立て方
2年生の生徒と面談をしていて、勉強が計画的にできているかどうか聞くと、「計画は立てるが、うまくいったことがない。」という答えが返ってきます。どうしたらうまく進められるのでしょうか。
計画を立てるコツは欲張らないことです。最低、これだけはやろうというものを計画に盛り込めばよいのです。これっぽちでいいのかな、と思う勉強量でも、こつこつ毎日積み上げると意外にたくさんの勉強ができるものです。
例えば、数学の練習問題であれば1日3問だけ、とします。これを6日間進めて、7日目は空白にします。計画どおり進まなかった場合は7日目に帳尻を合わせ、1週間の計画は着実に完結します。これでも4週間積み上げると72問解くことになります。
少しずつでも毎日進めること。こうすれば勉強ゼロの日はなくなるはずです。計画が軽かったら、プラスアルファを足していけばよいのです。今から期末考査まで、少しずつ積み上げる経験をしてください。こうして「計画力」を身につけて夏休みを迎えることができれば、しっかり計画的な勉強ができるようになるはずです。そして修学旅行から帰ってきたら、3年生ゼロ学期。徐々にボリュームアップしていきましょう。
受験勉強は計画を立てて
進路指導室に相談に来る3年生のなかに「大学受験が不安です。」と訴える生徒がいます。
不安なのは誰も一緒です。みんなで励ましあって受験勉強をやり抜くしかないのですが、不安感を少しでも和らげるためには、勉強の計画を立てることが重要です。
1か月の計画から1週間の計画を逆算し、今日進めるべき勉強内容を具体的に立案します。1週間の計画を6日で終えるようにプランを作成し、7日目は計画どおりにいかなかったときに調整して完結するようにします。不安なまま漫然と日が過ぎてしまうことのないように、1日1日少しずつ目標に近づいている、ということを実感して過ごすことで不安感を和らげることができるのです。
中間考査を終えたところで、この週末から受験勉強をどう進めるかを立案してください。そして1学期末には、夏休みとその前後を合わせた8週間の計画を立てられるよう、「計画力」を養いましょう。
受験速報会を開催しました
志望校への合格を果たした3年次生のうち26人を招いて、受験速報会を実施しました。2年次生は対面で、1年次生はオンラインで先輩の体験談を聞き、質問をしました。先輩は4回話をし、下級生は4か所の話を聞きました。
生活のリズムを整えて、ルーティーンを定着させよう。教材はあれこれ手を出すのではなく、一つを繰り返しやろう。スマホは一日30分と決めて、勉強するときは遠ざけよう。受験勉強を楽しもう。模試の判定が悪くても、最後まであきらめなかったのがよかった。私立は共通テスト利用入試で出願し、国立の個別入試対策に専念した。大学入試といっても、基礎の積み重ねだから、教科書と授業が大事。といった、アドバイスを聞くことができました。
現役生の37名が国公立大学に合格しました。今、後期の発表を待っているところです。難関私大にも、多くの生徒が合格をしています。先輩がつけてくれた道に、後輩も続いていこうと、改めて身を引き締めたことと思います。
情報に惑わされない受験生
ニューヨーク大学経営学部のスコット・ギャロウェイ教授は、ITの技術革新の功罪について、次のような指摘をしています。メディア企業は広告収入を収益としているため、読者がより多くをクリックしてつながることを求めている。それを促すのは「怒り」である。例えば「ワクチンが子供の病気を減らす。」と科学的な記事を書いてもコメントは寄せられないしシェアもされない。「ワクチン接種はやめるべきだ。」と投稿するとすぐさま反論が寄せられ、多くの議論と怒りを呼ぶ。するとメディア企業は、これを「よい記事」と判断して、この記事が人の目に触れる機会を増やしていく。と。つまり実社会では注目されない主張が多くの人に影響を与え、フェイクニュースを生み出すのです。
受験生の皆さんは、入試に関する様々な情報、例えばどの大学の倍率が上がる、下がるといったことに目が行くことと思います。しかしネット上の情報は玉石混交です。倍率は志願者が出願しなければわからないものであり、単なる憶測です。倍率が上がろうが下がろうが、それで合否が大きく変わることはありません。情報に惑わされることなく、今はじっくりと勉強を積み上げていくべき時です。
共通テストまで、あと39日。5週間以上あります。