進路指導部から

進路指導部からのメッセージ

受験速報会を開催しました

 志望校への合格を果たした3年次生のうち26人を招いて、受験速報会を実施しました。2年次生は対面で、1年次生はオンラインで先輩の体験談を聞き、質問をしました。先輩は4回話をし、下級生は4か所の話を聞きました。

 生活のリズムを整えて、ルーティーンを定着させよう。教材はあれこれ手を出すのではなく、一つを繰り返しやろう。スマホは一日30分と決めて、勉強するときは遠ざけよう。受験勉強を楽しもう。模試の判定が悪くても、最後まであきらめなかったのがよかった。私立は共通テスト利用入試で出願し、国立の個別入試対策に専念した。大学入試といっても、基礎の積み重ねだから、教科書と授業が大事。といった、アドバイスを聞くことができました。

 現役生の37名が国公立大学に合格しました。今、後期の発表を待っているところです。難関私大にも、多くの生徒が合格をしています。先輩がつけてくれた道に、後輩も続いていこうと、改めて身を引き締めたことと思います。

情報に惑わされない受験生

 ニューヨーク大学経営学部のスコット・ギャロウェイ教授は、ITの技術革新の功罪について、次のような指摘をしています。メディア企業は広告収入を収益としているため、読者がより多くをクリックしてつながることを求めている。それを促すのは「怒り」である。例えば「ワクチンが子供の病気を減らす。」と科学的な記事を書いてもコメントは寄せられないしシェアもされない。「ワクチン接種はやめるべきだ。」と投稿するとすぐさま反論が寄せられ、多くの議論と怒りを呼ぶ。するとメディア企業は、これを「よい記事」と判断して、この記事が人の目に触れる機会を増やしていく。と。つまり実社会では注目されない主張が多くの人に影響を与え、フェイクニュースを生み出すのです。

 受験生の皆さんは、入試に関する様々な情報、例えばどの大学の倍率が上がる、下がるといったことに目が行くことと思います。しかしネット上の情報は玉石混交です。倍率は志願者が出願しなければわからないものであり、単なる憶測です。倍率が上がろうが下がろうが、それで合否が大きく変わることはありません。情報に惑わされることなく、今はじっくりと勉強を積み上げていくべき時です。

 共通テストまで、あと39日。5週間以上あります。

3年生ゼロ学期が始まります

 2年生が修学旅行から帰ってきました。コロナが小康状態となり無事に行ってこられました。昨年3年生が修学旅行を断念せざるを得なかったことを思うと、本当に良かったですね。

 修学旅行が終わるといよいよ受験生モードに突入です。ここからは毎日、学校の授業にかかわる勉強に加えて、志望校の受験教科・科目に合わせた受験勉強をコツコツと積み上げていきます。いわゆる、”3年生ゼロ学期”の開始です。

 部活動においてもますます責任が重くなってきますが、ここで頑張った経験が必ず将来の役に立ちます。高校生の時に勉学と部活動を両立させた人は、必ず周囲から頼られる人材になるのです。そのためには隙間時間に勉強をすること、長期休業中に計画的に勉強することが重要です。

 まず着手することは、期末考査最終日の12月14日から、始業式前日の1月10日までの4週間、どんな受験勉強をするか計画を立てることです。これをやりぬくことが受験生デビューです。

受験勉強は自分を見つめて

 今日の読売新聞「編集手帳」に、A・ハンセンの『スマホ脳』というベストセラーが紹介されています。著者は、他者の生活の情報が次々に飛び込んでくるSNSを利用しているほど人生に対する満足度が低いと述べている、と書かれていました。いわゆる「隣の芝生」に惑わされてしまうということです。

 受験生は、いよいよ入試に向けてカウントダウンが始まっています。周囲の動向に惑わされず、自分のやるべき勉強をやり抜くにはどうしたらよいのでしょう。重要なのは、勉強の計画を立てることです。11月中に共通テストの過去問をやろう、12月には志望校の赤本をやろう、年末年始には論述問題対策をじっくりやろう。1月には模試の解きなおしをしよう、と自分が進もうとするロードマップを言語化、視覚化することです。目標に向かって、一日一日近づいている、という実感をもって毎日を過ごしていこう。

 共通テストまであと66日。国公立大前期試験まではさらに40日あります。100日をこえる計画、ずいぶんたくさんのことができます。皆で支えあって、がんばりましょう。

総合型選抜について

 10月のこの時期は、多くの大学で総合型選抜を実施しています。総合型選抜は、詳細な書類審査と時間をかけた丁寧な面接等を組み合わせることによって、入学志願者の能力・適性や学修に対する意欲、目的意識等を総合的に判定する入試方法です。国公立大学の推薦入試・総合型選抜入試では、時間と手間をかけた選考を実施しています。ところが、一部を除く私立大学では、選抜に時間と手間をかけられないのが現状です。

 日本私立学校振興・共済事業団の「令和3年度私立大学・短期大学等入学志願動向」によると、私立大学のうち入学定員を100%以上充足しているのは全体の6割程度であり、4割の大学は定員割れをしています。そして、充足率の低い大学ほど推薦入試・総合型選抜入試を実施する比率が高いことが報告されています。

 総合型選抜入試に出願する場合は、本来あるべき総合型選抜を実施しているのかどうかを見極める必要があります。本当に自分の第一志望校なのか、本当にしっかりと学ぶことができる大学なのか、考え抜いて出願を決めてください。

主体的に勉強のルーティンを定めよう

 大リーグエンゼルスのスタジアム、左中間のフェンス前に「大谷の小さな穴」があるそうです。日々ルーティンワークを行う大谷翔平選手の足がいつもそこに収まってできた穴です。毎日、重さと大きさの異なる6つのボールを、体幹を使って後ろに投げるトレーニングをしているのです。重さの違いを自覚しながら投げることで漫然と投げるのを防ぎ、効率よく腕を振る狙いがあるのだそうです。

 分散登校が行われた9月に生活のリズムをコントロールできず、勉強時間が減ってしまったという声を聞きました。オンラインで受講していても、勉強に対する姿勢が受け身であったために十分な学習効果をあげられなかったのでしょう。主体的に、自分が今強化すべき教科、科目を考え、毎日決まった時間に決まった勉強をしようと決める。決めたことはルーティンとして必ずやる。主体的に学ぶ態度とはこうしたものだと思います。

 10月からは通常の授業を実施できるようになりました。各自が主体的にルーティンを定めて一日一日着々と勉強をしましょう。

大学の定員充足率

 28日の日本経済新聞電子版に「私大定員割れ、全体充足率は初めて100%下回る」という記事がありました。

 今春の私立大学の定員総計は約4千人増えた一方、18歳人口は2万6千人減り、総入学者は9600人減ったそうです。全国に私立大学は597校ありますが、277校で定員割れをしているとのこと。46.4%の大学が定員を満たしていないことになります。

 進路指導室を訪れる大学の担当の方のお話を伺うと、学生募集に強い危機感を持っていることがわかります。総合型選抜、推薦入試は、面接、ディスカッション、論文などに手をかけて入試を行い、学力試験だけでは測れない活動歴、人格、意欲、職業観などを総合的に選抜する入試です。もしも一部の大学が、秋のうちに学生を確保したいという思惑だけから入試を実施するとすれば、志望校はじっくりと考える必要があります。

 国立大学入試は3月まであります。私立大学も3月になっても募集をするケースがたくさんあります。早く進路を決定したいという思いだけで受験に臨んでしまうことのないように、粘り強く勉強をしましょう。

ポジティブな物語

 早稲田大学に、作家の村上春樹さんの著作や資料を集めた国際文学館(村上春樹ライブラリー)が開館することとなりました。開館を前に行われた村上春樹さんの記者会見に関する記事が28日の読売新聞にあります。

 村上さんは「今の若い人は自分の未来について、ポジティブな物語を作れているのか。」「僕らが若い頃には、頑張って努力すれば世の中はよくなるという共通認識があった。」と語っています。そして「いつの世の中でも理想はあるべき。」とも話しています。

 確かに現代は、高度成長期のような未来への希望を描ける時代ではありません。しかし、若者のエネルギーの強さは今も昔も変わらないはずです。むしろ現代のほうが、次の時代にむけて解決すべき課題は山積しているといえます。生徒諸君が未来について語れば、おのずと勉学への意欲がわいてくるはずです。国際文学館の基本理念として村上さんが寄せた言葉です。<物語を拓こう、心を語ろう>

 

 

大学入試のあり方に関する検討会議提言より

 先日、検討会議で提言(案)が示されたことをお知らせしましたが、7月8日にこの提言が公表されました。このなかで、大学入試に必要な科目について以下のように述べられています。

 経団連と大学関係団体による「採用と大学教育の未来に関する産学協議会報告書」では、文系・理系を問わず大学で身につけるべきリテラシーとして、「外国語コミュニケーション能力」「数理的推論・データ分析力」「論理的文章表現力」が挙げられている。また、令和3年度入試からいわゆる文系学部で共通テストにおいて数学を課す改革が行われた例もあった。と指摘しています。

 この提言は、特に社会科学系学部で数学を入試に課さないことによって、学生の数理的推論・データ分析力が不足している実情があることを指摘しているものです。今後、文系学部で数学を入試で必修にするような働きかけがあるのかもしれません。

 まずは数ⅠAをしっかり学ぶことが大学進学には必要です。数学から逃げずにこつこつ勉強を積み重ねていきましょう。

女子中高生のための東大工学部紹介

 東京大学から、女子生徒を対象とした工学部紹介(Tech Girl Meetup2021.pdf)がオンラインで開催されるというお知らせをいただきました。7月10日(土)の午後、東大工学部の教授や女子学生のお話を聞き、談話会が開催されるとのことです。


 詳しくは、東京大学オープンキャンパス特設サイトにアクセスしてください。