進路指導部から

進路指導部からのメッセージ

入試方式の難易度について

 各私立大学は、様々な入試方式を用意しています。全学部統一入試、個別学部入試、共通テスト利用入試、受験科目数が異なる入試と、様々な入試方式を実施して、多様な学生を入学させようとします。

 生徒から「どの入試方式が合格しやすいのですか?」と聞かれることがしばしばあります。よく共通テスト利用入試が難しいという人もいますが、そうともいえないケースも多々あります。合格者の状況は、前年の倍率がどうだったか、同日にどこの大学が入試を実施しているか、学部学科のめざすものがどのように理解されているか、国公立大学との併願動向がどうなったかなど、様々な要因に左右されます。いずれにしても、生徒の合否の結果を毎年見ていると、入試方式に関わらず合格するべき人が合格しているというのが私たちの印象です。

 受験生は、入試方式に左右されるのではなく、志望校にむかってこつこつと積み重ねることに専念するべきです。そもそも私立大学の受験スケジュールは、併願校との兼ね合いでおのずと決まってしまうものです。どちらの方式が有利なのかを考える余地などありません。志望校を見据えて、受験勉強をポジティブに楽しむことが大事です。

情報源について

 生徒の皆さんが卒業後の進路を考えるとき、これからの時代に期待される人材とは、どのような人材なのかを考えることは重要です。そのためには、社会情勢の変化や実用化されつつある先端技術、注目される企業経営について関心を持ってニュースを見る必要があります。

 その場合、皆さんの情報源は何ですか。スマホはとても便利な情報源ではありますが、使用者が関心を持つ分野に情報をどんどん絞り込んでしまいますので、スマホばかりを情報源にすると情報は狭められてしまいます。これを防ぐためには、新聞を読むことが絶対に欠かせません。

 もちろん、新聞を隅から隅まで熟読することはできません。高校生の皆さんの場合、ぱらぱらとめくって見出しを眺めればいいのです。新聞の広い紙面から、あらゆる分野の情報に触れた上で、自分の進路に関係するものをしっかり読み込むことです。小論文を書いたりディスカッション、プレゼンテーションをするとき、こうした情報が自分にしかできない表現を可能にします。ご家庭で購読されていない場合、本校の図書館にも全国紙を複数用意してあります。週に一度、15分で十分ですから、皆さんぜひ活用してください。

 

 

埼玉県立大学の入試

 毎年、県立大にもたくさんの生徒がチャレンジしています。

 県立大は看護、理学療法、作業療法、検査技術、口腔保健など医療系の学科・専攻のほか、社会福祉子ども学科では社会福祉学や福祉子ども学の専攻があります。ここでは、社会福祉士、精神保健福祉士、保育士、幼稚園教諭などを目指す人が学んでいます。

 県立大の場合、11月に本県の高校生を対象とした特別選抜、学校推薦型試験があります。この試験では例年、英語の課題文を読んで書く小論文が課せられています。県立大を目指す人は、まずはこの推薦入試を受験することを検討します。医療系の学科のほか、福祉分野や幼児教育分野を志す人は考えてみてください。

 詳細は進路指導室に相談に来てください。夏休みに対策をたてられるよう、1学期のうちに相談にくることをお勧めします。

日本の若者の向学心について

 文部科学省の所管する科学技術振興機構は、優秀な博士課程の学生に生活費や研究費を支給しています。この制度について昨年度の実施状況を調べたところ、受給者の約3割がアジア諸国の留学生だったことが、参議院の外交防衛委員会で明らかにされたそうです。

 日本の教育機関でアジア諸国の若者が学ぶのを支援すること自体は、日本の国際貢献の観点から素晴らしいことです。しかし、この制度は日本の若者が博士課程で学ぶチャンスを広げることを本来の目的としています。アジア諸国への貢献についてはほかにもいろいろな制度があるはずです。

 日本の若者の向学心が、アジア諸国の若者に後れを取っているのではないかということが懸念されるニュースです。

 人口100万人当たりの学位取得者数を見ると、ドイツが315人、イギリスが313人、日本は120人です。韓国においても270人前後であることからも日本の水準がいかに低いかわかります。

 博士号取得者の就職環境など、様々な課題はありますが、日本の若者が「もっと学びたい」というモチベーションを高めてくことが重要だといえます。皆さんはどうお考えでしょうか。

3年次生保護者会でお話をしました

 4月26日(土)に、進路をテーマとした3年次生保護者会を開催したところ、8割近い保護者様が出席くださいました。

 地元予備校から大学受験の動向について説明があり、本校進路指導主事から今春の卒業生の進路実績と、課題や反省点を説明しました。その後、政策アドバイザーより保護者の皆さんの心構えをお話ししました。

 この少子化の時代は、実は大学にとって厳しい時代なのです。というのは、多くの大学が募集定員を充足することができない事態となっており、保護者会の前日にも京都の伝統ある大学が募集停止を決定したという衝撃的なニュースがあったばかりでした。

 受験生にとって「売り手市場」なのですから、あわてないで、志望を下げず、3月の最後まで粘り強く受験勉強を続ければきっと良い結果が得られます。受験生の保護者にとってもつらいかもしれませんが、3月までご子息、ご息女を見守ってあげてください、ということをお伝えしました。

 生徒たちは意欲をもって高い志を掲げています。保護者の皆さまも我々と一緒に最後まで受験生を応援してくださいますよう、お願いいたします。

 

志望校と併願校

 先日、生徒から「私の第一志望校は国立〇〇大学の〇〇学部ですが、私大の併願校はどのように考えたらいいのですか。」という質問を受けました。

 国公立大学を第一志望にあげるのであれば、まずは国公立大学の第ニ志望を考えましょう。せっかく国公立をめざして6教科受験勉強をするのであれば、前期・後期の両方に出願しなければもったいないですよね。第一志望校の前期試験と、第ニ志望の後期試験という組み合わせを考えるべきです。その際、地方の国公立大学を考慮に加えると選択肢がぐんと増えます。

 そして、私大を考える際には「タテ型」受験をすべきです。難易度の高い憧れの大学ばかり受験しても、うまくはいかないことが多いでしょう。「挑戦校」「相応校」「堅実校」とタテに検討することが重要です。浪人を辞さないのであれば「挑戦校」ばかりを受験することはあり得ますが、あまり勧められません。

文系と理系

 新入生はさっそく次年度の選択科目を考えなくてはなりません。学校は、7月には次年度に必要となる教科書の数を報告しなくてはならないからです。このため、6月の三者面談で次年度の選択科目を保護者を交えて確認し、その後微調整を進めることになります。

 入学して間もないのにこうしたことを決断しなくてはならないのは大変ですが、卒業後の進路を早くから考えることは重要です。その際に自分が理系なのか文系なのかを考えることがとっかかりになります。実は、理系と文系にわけることは学問分野の在り方として正しいこととは言えないのですが、便宜上これを手掛かりに考え始めざるを得ません。

 その際、消去法で選ぶことは禁物です。この教科が苦手だからこっち、という判断ではなく、この教科をもっと学びたいからこっち、という選び方をしてください。ここで消極的選択をしてしまうと、皆さんの未来はしぼんでしまいます。もし、迷ったら、いつでも進路指導室に相談に来てください。

今春の卒業生の頑張り

 今春の卒業生は、国公立大学に57名合格しました。

 埼玉大学23名、県立大学5名、外語大3、信州大3,東北大2、電通大2、千葉大2、富山大2のほか、筑波大、お茶の水女子大、農工大などに合格しました。特に中期・後期募集まで頑張って合格した人が7名いたのは立派でした。詳しい統計ができ次第、HPでお知らせします。

 次年度、挑戦する生徒たちにも大いに励みになります。

夏休みを前に

 期末考査も始まりました。これを終えれば3年次生はいよいよ夏の勉強計画です。

 考査後も終業式まで2週間近くあります。これと夏休みを合わせて8週間の勉強計画を立てましょう。

 これまで計画を立案しても、計画どおり達成したことはありますか。計画を立てるときばかり力が入ってしまい、計画倒れになってしまう、というのはありがちなことです。これを防ぐためにはどうしたらいいでしょう。

 勉強計画を「絶対やりとげる」ものと「ゆとりがあったらやる」ものに分け、前者だけを計画に盛り込んでみてはどうでしょう。「絶対やりとげる」ものは内容を精選し、欲張らないようにします。これを1週間のうち6日間にあてはめます。万一計画どおりに進まなくても、7日目には必ず1週間計画を完結します。少ない計画でもこつこつ8週間積み上げるとなかなかの量になるものです。そして、毎日やるべき勉強が決まっていればともかくも朝から机に向かえます。計画した勉強をやり終えて、さらに「ゆとりがあったらやる」勉強の計画を大まかに描いておき、積み上げていくことで達成感を自覚しながら勉強を進めます。

 考査が終わるや否や夏休みの計画に着手し、この8週間の勉強時間が500時間を超えるのを目標に、今から方針を練っておきましょう。

面白すぎる研究会

 日本史家の磯田道史先生は、各メディアで大活躍されていますが、読売新聞にも定期的に文章を寄せられています。先日「面白すぎる共同研究会」という記事が掲載されていました。テーマは「口と鼻―人体と外界の接合域の日本文化史」とし、各分野の研究者を集め、文系理系を問わない研究をしようしています。医療人類学、環境史学、菓子史、感染症史そして薫香料分析や薬理研究に強い関心を持つ小説家が集って日本文化史を解明しようというのです。

 岸田内閣は「教育未来創造会議」を設置し、日本の教育の将来について提言をしようと議論を進めていますが、5月の会議録を見ると「文理横断教育の推進」ということが強調されています。これからの時代に対応する人材は、文系・理系という分野を超えた発想を備えていなくてはならない、と。

 皆さんは教育課程の便宜上、文系・理系を分けて科目を選択していますが、大学受験に向けて受験科目を絞って勉強しようという態度では、新しい時代を担う勉強はできません。5教科まんべんなく学ぶ力強い意欲をもって、勉強を充実させてください。