進路指導部から

進路指導部からのメッセージ

夏休みを前に

 期末考査も始まりました。これを終えれば3年次生はいよいよ夏の勉強計画です。

 考査後も終業式まで2週間近くあります。これと夏休みを合わせて8週間の勉強計画を立てましょう。

 これまで計画を立案しても、計画どおり達成したことはありますか。計画を立てるときばかり力が入ってしまい、計画倒れになってしまう、というのはありがちなことです。これを防ぐためにはどうしたらいいでしょう。

 勉強計画を「絶対やりとげる」ものと「ゆとりがあったらやる」ものに分け、前者だけを計画に盛り込んでみてはどうでしょう。「絶対やりとげる」ものは内容を精選し、欲張らないようにします。これを1週間のうち6日間にあてはめます。万一計画どおりに進まなくても、7日目には必ず1週間計画を完結します。少ない計画でもこつこつ8週間積み上げるとなかなかの量になるものです。そして、毎日やるべき勉強が決まっていればともかくも朝から机に向かえます。計画した勉強をやり終えて、さらに「ゆとりがあったらやる」勉強の計画を大まかに描いておき、積み上げていくことで達成感を自覚しながら勉強を進めます。

 考査が終わるや否や夏休みの計画に着手し、この8週間の勉強時間が500時間を超えるのを目標に、今から方針を練っておきましょう。

面白すぎる研究会

 日本史家の磯田道史先生は、各メディアで大活躍されていますが、読売新聞にも定期的に文章を寄せられています。先日「面白すぎる共同研究会」という記事が掲載されていました。テーマは「口と鼻―人体と外界の接合域の日本文化史」とし、各分野の研究者を集め、文系理系を問わない研究をしようしています。医療人類学、環境史学、菓子史、感染症史そして薫香料分析や薬理研究に強い関心を持つ小説家が集って日本文化史を解明しようというのです。

 岸田内閣は「教育未来創造会議」を設置し、日本の教育の将来について提言をしようと議論を進めていますが、5月の会議録を見ると「文理横断教育の推進」ということが強調されています。これからの時代に対応する人材は、文系・理系という分野を超えた発想を備えていなくてはならない、と。

 皆さんは教育課程の便宜上、文系・理系を分けて科目を選択していますが、大学受験に向けて受験科目を絞って勉強しようという態度では、新しい時代を担う勉強はできません。5教科まんべんなく学ぶ力強い意欲をもって、勉強を充実させてください。

部活を引退したら

 6月を迎え、そろそろ3年生が引退をする部も出始めました。部活をやりきった人は、ここで気持ちを切り替えて本格的な受験勉強を始めることができます。これまで部活に向けてきた時間を勉強時間に変え、部活を通じて培った気力をもってあたれば、今後ずいぶんたくさんの勉強ができそうです。

 ところが、部活を引退したものの、なかなか受験生に気持ちを切り替えることができないケースがあります。夕方明るいうちに帰宅してもすぐに机に向かうことができなかったり、何から手をつければよいかわからないまま、毎日を過ごしてしまうことがありがちです。

 そういう場合は、放課後に学校の自習室に残って勉強をしてはどうでしょうか。後輩が部活動をやっている時間に、自習室で勉強をすれば、間違いなく部活に向けていた時間を受験勉強に向けることができるはずです。また、これから自分が取り組む勉強の見通しを立てて計画的に進めることも大事です。1学期末までを計画に従って勉強を進め、「計画力」を身につけて夏休みを迎えることができれば成功です。

勉強計画の立て方

 2年生の生徒と面談をしていて、勉強が計画的にできているかどうか聞くと、「計画は立てるが、うまくいったことがない。」という答えが返ってきます。どうしたらうまく進められるのでしょうか。

 計画を立てるコツは欲張らないことです。最低、これだけはやろうというものを計画に盛り込めばよいのです。これっぽちでいいのかな、と思う勉強量でも、こつこつ毎日積み上げると意外にたくさんの勉強ができるものです。

 例えば、数学の練習問題であれば1日3問だけ、とします。これを6日間進めて、7日目は空白にします。計画どおり進まなかった場合は7日目に帳尻を合わせ、1週間の計画は着実に完結します。これでも4週間積み上げると72問解くことになります。

 少しずつでも毎日進めること。こうすれば勉強ゼロの日はなくなるはずです。計画が軽かったら、プラスアルファを足していけばよいのです。今から期末考査まで、少しずつ積み上げる経験をしてください。こうして「計画力」を身につけて夏休みを迎えることができれば、しっかり計画的な勉強ができるようになるはずです。そして修学旅行から帰ってきたら、3年生ゼロ学期。徐々にボリュームアップしていきましょう。

受験勉強は計画を立てて

 進路指導室に相談に来る3年生のなかに「大学受験が不安です。」と訴える生徒がいます。

 不安なのは誰も一緒です。みんなで励ましあって受験勉強をやり抜くしかないのですが、不安感を少しでも和らげるためには、勉強の計画を立てることが重要です。

 1か月の計画から1週間の計画を逆算し、今日進めるべき勉強内容を具体的に立案します。1週間の計画を6日で終えるようにプランを作成し、7日目は計画どおりにいかなかったときに調整して完結するようにします。不安なまま漫然と日が過ぎてしまうことのないように、1日1日少しずつ目標に近づいている、ということを実感して過ごすことで不安感を和らげることができるのです。

 中間考査を終えたところで、この週末から受験勉強をどう進めるかを立案してください。そして1学期末には、夏休みとその前後を合わせた8週間の計画を立てられるよう、「計画力」を養いましょう。

受験速報会を開催しました

 志望校への合格を果たした3年次生のうち26人を招いて、受験速報会を実施しました。2年次生は対面で、1年次生はオンラインで先輩の体験談を聞き、質問をしました。先輩は4回話をし、下級生は4か所の話を聞きました。

 生活のリズムを整えて、ルーティーンを定着させよう。教材はあれこれ手を出すのではなく、一つを繰り返しやろう。スマホは一日30分と決めて、勉強するときは遠ざけよう。受験勉強を楽しもう。模試の判定が悪くても、最後まであきらめなかったのがよかった。私立は共通テスト利用入試で出願し、国立の個別入試対策に専念した。大学入試といっても、基礎の積み重ねだから、教科書と授業が大事。といった、アドバイスを聞くことができました。

 現役生の37名が国公立大学に合格しました。今、後期の発表を待っているところです。難関私大にも、多くの生徒が合格をしています。先輩がつけてくれた道に、後輩も続いていこうと、改めて身を引き締めたことと思います。

情報に惑わされない受験生

 ニューヨーク大学経営学部のスコット・ギャロウェイ教授は、ITの技術革新の功罪について、次のような指摘をしています。メディア企業は広告収入を収益としているため、読者がより多くをクリックしてつながることを求めている。それを促すのは「怒り」である。例えば「ワクチンが子供の病気を減らす。」と科学的な記事を書いてもコメントは寄せられないしシェアもされない。「ワクチン接種はやめるべきだ。」と投稿するとすぐさま反論が寄せられ、多くの議論と怒りを呼ぶ。するとメディア企業は、これを「よい記事」と判断して、この記事が人の目に触れる機会を増やしていく。と。つまり実社会では注目されない主張が多くの人に影響を与え、フェイクニュースを生み出すのです。

 受験生の皆さんは、入試に関する様々な情報、例えばどの大学の倍率が上がる、下がるといったことに目が行くことと思います。しかしネット上の情報は玉石混交です。倍率は志願者が出願しなければわからないものであり、単なる憶測です。倍率が上がろうが下がろうが、それで合否が大きく変わることはありません。情報に惑わされることなく、今はじっくりと勉強を積み上げていくべき時です。

 共通テストまで、あと39日。5週間以上あります。

3年生ゼロ学期が始まります

 2年生が修学旅行から帰ってきました。コロナが小康状態となり無事に行ってこられました。昨年3年生が修学旅行を断念せざるを得なかったことを思うと、本当に良かったですね。

 修学旅行が終わるといよいよ受験生モードに突入です。ここからは毎日、学校の授業にかかわる勉強に加えて、志望校の受験教科・科目に合わせた受験勉強をコツコツと積み上げていきます。いわゆる、”3年生ゼロ学期”の開始です。

 部活動においてもますます責任が重くなってきますが、ここで頑張った経験が必ず将来の役に立ちます。高校生の時に勉学と部活動を両立させた人は、必ず周囲から頼られる人材になるのです。そのためには隙間時間に勉強をすること、長期休業中に計画的に勉強することが重要です。

 まず着手することは、期末考査最終日の12月14日から、始業式前日の1月10日までの4週間、どんな受験勉強をするか計画を立てることです。これをやりぬくことが受験生デビューです。

受験勉強は自分を見つめて

 今日の読売新聞「編集手帳」に、A・ハンセンの『スマホ脳』というベストセラーが紹介されています。著者は、他者の生活の情報が次々に飛び込んでくるSNSを利用しているほど人生に対する満足度が低いと述べている、と書かれていました。いわゆる「隣の芝生」に惑わされてしまうということです。

 受験生は、いよいよ入試に向けてカウントダウンが始まっています。周囲の動向に惑わされず、自分のやるべき勉強をやり抜くにはどうしたらよいのでしょう。重要なのは、勉強の計画を立てることです。11月中に共通テストの過去問をやろう、12月には志望校の赤本をやろう、年末年始には論述問題対策をじっくりやろう。1月には模試の解きなおしをしよう、と自分が進もうとするロードマップを言語化、視覚化することです。目標に向かって、一日一日近づいている、という実感をもって毎日を過ごしていこう。

 共通テストまであと66日。国公立大前期試験まではさらに40日あります。100日をこえる計画、ずいぶんたくさんのことができます。皆で支えあって、がんばりましょう。

総合型選抜について

 10月のこの時期は、多くの大学で総合型選抜を実施しています。総合型選抜は、詳細な書類審査と時間をかけた丁寧な面接等を組み合わせることによって、入学志願者の能力・適性や学修に対する意欲、目的意識等を総合的に判定する入試方法です。国公立大学の推薦入試・総合型選抜入試では、時間と手間をかけた選考を実施しています。ところが、一部を除く私立大学では、選抜に時間と手間をかけられないのが現状です。

 日本私立学校振興・共済事業団の「令和3年度私立大学・短期大学等入学志願動向」によると、私立大学のうち入学定員を100%以上充足しているのは全体の6割程度であり、4割の大学は定員割れをしています。そして、充足率の低い大学ほど推薦入試・総合型選抜入試を実施する比率が高いことが報告されています。

 総合型選抜入試に出願する場合は、本来あるべき総合型選抜を実施しているのかどうかを見極める必要があります。本当に自分の第一志望校なのか、本当にしっかりと学ぶことができる大学なのか、考え抜いて出願を決めてください。

主体的に勉強のルーティンを定めよう

 大リーグエンゼルスのスタジアム、左中間のフェンス前に「大谷の小さな穴」があるそうです。日々ルーティンワークを行う大谷翔平選手の足がいつもそこに収まってできた穴です。毎日、重さと大きさの異なる6つのボールを、体幹を使って後ろに投げるトレーニングをしているのです。重さの違いを自覚しながら投げることで漫然と投げるのを防ぎ、効率よく腕を振る狙いがあるのだそうです。

 分散登校が行われた9月に生活のリズムをコントロールできず、勉強時間が減ってしまったという声を聞きました。オンラインで受講していても、勉強に対する姿勢が受け身であったために十分な学習効果をあげられなかったのでしょう。主体的に、自分が今強化すべき教科、科目を考え、毎日決まった時間に決まった勉強をしようと決める。決めたことはルーティンとして必ずやる。主体的に学ぶ態度とはこうしたものだと思います。

 10月からは通常の授業を実施できるようになりました。各自が主体的にルーティンを定めて一日一日着々と勉強をしましょう。

大学の定員充足率

 28日の日本経済新聞電子版に「私大定員割れ、全体充足率は初めて100%下回る」という記事がありました。

 今春の私立大学の定員総計は約4千人増えた一方、18歳人口は2万6千人減り、総入学者は9600人減ったそうです。全国に私立大学は597校ありますが、277校で定員割れをしているとのこと。46.4%の大学が定員を満たしていないことになります。

 進路指導室を訪れる大学の担当の方のお話を伺うと、学生募集に強い危機感を持っていることがわかります。総合型選抜、推薦入試は、面接、ディスカッション、論文などに手をかけて入試を行い、学力試験だけでは測れない活動歴、人格、意欲、職業観などを総合的に選抜する入試です。もしも一部の大学が、秋のうちに学生を確保したいという思惑だけから入試を実施するとすれば、志望校はじっくりと考える必要があります。

 国立大学入試は3月まであります。私立大学も3月になっても募集をするケースがたくさんあります。早く進路を決定したいという思いだけで受験に臨んでしまうことのないように、粘り強く勉強をしましょう。

ポジティブな物語

 早稲田大学に、作家の村上春樹さんの著作や資料を集めた国際文学館(村上春樹ライブラリー)が開館することとなりました。開館を前に行われた村上春樹さんの記者会見に関する記事が28日の読売新聞にあります。

 村上さんは「今の若い人は自分の未来について、ポジティブな物語を作れているのか。」「僕らが若い頃には、頑張って努力すれば世の中はよくなるという共通認識があった。」と語っています。そして「いつの世の中でも理想はあるべき。」とも話しています。

 確かに現代は、高度成長期のような未来への希望を描ける時代ではありません。しかし、若者のエネルギーの強さは今も昔も変わらないはずです。むしろ現代のほうが、次の時代にむけて解決すべき課題は山積しているといえます。生徒諸君が未来について語れば、おのずと勉学への意欲がわいてくるはずです。国際文学館の基本理念として村上さんが寄せた言葉です。<物語を拓こう、心を語ろう>

 

 

大学入試のあり方に関する検討会議提言より

 先日、検討会議で提言(案)が示されたことをお知らせしましたが、7月8日にこの提言が公表されました。このなかで、大学入試に必要な科目について以下のように述べられています。

 経団連と大学関係団体による「採用と大学教育の未来に関する産学協議会報告書」では、文系・理系を問わず大学で身につけるべきリテラシーとして、「外国語コミュニケーション能力」「数理的推論・データ分析力」「論理的文章表現力」が挙げられている。また、令和3年度入試からいわゆる文系学部で共通テストにおいて数学を課す改革が行われた例もあった。と指摘しています。

 この提言は、特に社会科学系学部で数学を入試に課さないことによって、学生の数理的推論・データ分析力が不足している実情があることを指摘しているものです。今後、文系学部で数学を入試で必修にするような働きかけがあるのかもしれません。

 まずは数ⅠAをしっかり学ぶことが大学進学には必要です。数学から逃げずにこつこつ勉強を積み重ねていきましょう。

女子中高生のための東大工学部紹介

 東京大学から、女子生徒を対象とした工学部紹介(Tech Girl Meetup2021.pdf)がオンラインで開催されるというお知らせをいただきました。7月10日(土)の午後、東大工学部の教授や女子学生のお話を聞き、談話会が開催されるとのことです。


 詳しくは、東京大学オープンキャンパス特設サイトにアクセスしてください。

総合型選抜・学校推薦型選抜について

 6月30日に「第28回大学入試のあり方に関する検討会議」が開催され、提言の案が会議資料として配布されました。このなかで、総合型選抜・学校推薦型選抜を今後も推進すべきことが述べられています。総合型選抜・学校推薦型選抜は一般選抜と比較して、評価に一定の時間を要する選抜方法(面接・口頭試問・小論文試験等)を実施しやすいなど、志願者と大学とのより良いマッチングにもつながる、としているという考えに基づいています。

 ところが、AO・推薦入試に関する実態調査の結果、小論文、口頭試問、プレゼンテーションなどの選抜が必ずしも広く行われていない状況があるとのことです。その理由について、選抜に手間をかけることが可能かどうかを考えるために、一般選抜における記述式問題の出題状況を見てみます。提言案では、このことについて、国公立では81.6%であるのに対し、私大では54.1%にとどまるのが現状であると述べています。一般に私大では受験生が多く、採点時間と人材の確保に難しい面があるとのことです。こうした状況が、推薦入試への対応にも当てはまるのではないでしょうか。

 今後も、総合型選抜・学校推薦型選抜の理想を追求して入試改革を進めていく必要はありますが、その理想どおりの選抜は実施が難しいのが現状です。どのような選抜が行われるのかをしっかり見極め、単に早く進路を決定したいという動機だけから安易に推薦入学を目指すのは、現状では勧められないという理由はここにあります。

学部選び

 3年間を見通した進路指導のなかで、2年生の年度末までに第1志望を宣言してもらいます。もちろん3年次になってからも志望校については検討を続けますが、2年生の終わりまでにいったんは志望する大学像を明らかにしてもらいます。
 そのためには進学する学部を決めるわけですが、その際によくある質問についてお伝えします。
 まず、「多くの国立大学に教育学部があるのですが、私立大学には教育学部が少ないのはなぜですか。」というものです。教員になるには、必ずしも教育学部でなくてはならないのではなく、教員免許を取得できる課程があればどんな学部でも大丈夫です。私たち教員も、教育学部のほか、文学部や理学部、体育や芸術学部出身の人がたくさんいます。
 また、「私大では学科が細かく分かれていますが、国立大は学部で募集するケースが多く、自分の学びたい分野があるのかどうかわかりません。」というものです。国立大学は学部で募集し、入学後に専攻分野を決める場合が多いのです。たとえば、史学科と明確な学科名がなくても、文学部であればまず史学専攻はあるはずです。
 いずれにしても、蛍雪時代4月増刊号「学部学科案内号」をみると、自分の学びたい分野がどんな学部にあって、それがどのような大学にあるかを調べることができます。この本は生徒の皆さんの各教室においてありますから活用してください。

何のために学ぶのか

 1989年11月、ベルリンの壁が開放される様子はリアルタイムでテレビ放映されました。アメリカの政治学者フランシス・フクヤマは『歴史の終わり』(The end of history)で、人類が目指してきた自由主義がゴールに到達したと考え、当時世界の多くの人がそれを信じました。

 ところがそれは楽観だったのでしょうか。スウェーデンの調査機関V-Demは、2019年の世界に民主国家・地域は87あり、非民主国家は92あると報告しました。あれから30年を経た今、なんと民主国家は少数派なのです。

 コロナウィルス対策では強権的な政治を行う国家では、都市封鎖(ロック・ダウン)や個人の行動追跡といった徹底した感染拡大防止策を取り、感染者数、死者数を抑え込んでいます。一方で基本的人権を尊重し、経済活動の自由を保障しつつ「自粛」によって感染拡大を抑制しようとする国家は苦戦しています。

 人権を保障しながら経済的繁栄を続け、平和と国民の健康を守る国づくりに諸君はどう関わっていきますか。これを考えるために君たちは今学んでいるのです。進学がゴールではありません。使命感を持って学んでください。

夏の8週間

 進路指導室では3年次生の二者面談を進めています。ここで生徒に話しているのは「夏の8週間」を具体的な計画を立てて受験勉強をすること、です。
 夏休みは7月21日から8月26日までの37日間です。しかし1学期末には、期末考査最終日から終業式までの2週間は自分の計画に沿った勉強ができます。これと2学期当初の授業が軌道に乗るまでの期間を合わせて8週間の勉強計画を立てるよう勧めています。
 志望校とのギャップを着実につめるためには苦手科目を克服することが近道です。夏の重点科目の勉強量を見定め、これを8週間で割り、1週間、1週間目標に近づいていくことを実感できるよう具体的な計画をたてることが重要です。
 生徒たちが目標にむけて夢を持って努力を積み重ねることを期待しています。

文理分断からの脱却

 この時期、たくさんの生徒が次年度の選択科目をどう選んだらよいか、進路指導室に相談に来ています。志望学部に応じたアドバイスをしていますが、生徒の本音の部分で文系が数学を遠ざけ、理系が古典を敬遠する様子に暗澹たる気持ちになります。

 文科省は『Society5.0に向けた人材育成』で文系、理系を分けて学ぶのではこれからの時代を生き抜く人材を育成できないことを指摘しています。名古屋大学の隠岐さや香先生の分析によると、なぜ文理分断が起きたのかといいうと、明治日本が近代化を急ぐために法学と工学を重視し、それぞれの専門分野に特化した大学制度を設計した。しかしそのために、日本の教育制度には高校生の時に文系、理系を選択することで生涯を規定してしまう傾向がある、と警鐘を鳴らしています。専門分野は大学院に行ってからでもよい、とも発信しています。

 本校では、文系・理系を分けるのは3年生になってからとし、3年生の夏までは模擬テストでは3教科+1教科以上を受験させています。大学進学のための受験科目だけに絞ってしまうのではなく、すべての教科をバランスよく学んでほしいからです。

新聞を読むこと

 生徒にはいつも新聞を読むことを勧めています。もちろん社会科学系学部へ進学する生徒は必須なのですが、それ以前に読解力を向上させるのに効果的だと考えているからです。自分の周囲で起きていることを題材に、簡潔な文章を読んで大意をつかむこと。社説であれば、記者の考えを読み取ること。できれば他紙と読み比べて主張の違いを考え、読んで理解したことを人に説明する(アウトプットする)ことが力をつけるコツです。

  ところが、近年は新聞を購読しない家庭が増えているようです。日本新聞協会の統計によると、全国の一般紙の発行部数は、2000年は47,401,669部、2010年は44,906,720部、2020年は32,454,796部だそうです。2000年を1とすると、2020年は0.95、2020年0.68と、この20年で3分の2まで落ち込んでいます。

  必要な情報はスマホで検索をすればよい、という考え方もあります。しかし社会体験の少ない高校生には検索力がないのです。新聞を広く広げ、様々な見出しをみることで、関心をもっていなかった分野の記事も目に飛びこんでくる。これはスマホにはできないことです。

  学校の図書館でも全国紙各紙をおいていますが、ご家庭でも新聞を読み、記事について語る環境が高校生の成長には不可欠と考えています。保護者の皆様、ご一考ください。

部活動との両立

 コロナ禍のもと、部活動にも様々な制約があるなか、今年もたくさんの生徒が関東大会出場権を獲得しています。3年次生の保護者の皆様には、なかなか受験勉強に専念できない状況にご心配のことと存じますが、学校でも日頃の授業に加え、朝学習、土曜講習とこつこつ勉強を積み上げさせる指導をしております。
 経済産業省の『人生100年時代の社会人基礎力』や経済同友会の『これからの企業・社会が求める人材像と大学への期待』といった提言を読むと、クリティカルシンキング、価値観の異なる相手を思いやりながら共に学ぶコミュニケーション力、メタ認知力などがこれからの若者に求められていることがわかります。
 こうした力は部活動の場面で鍛えられることが多いものです。生徒の皆さんには、朝勉、昼勉、電車勉と隙間時間の工夫をしながら、部活動をやり抜いてほしいと願っています。保護者の皆様にも、この点についてご理解をいただき、見守ってくださいますようお願い申し上げます。

推薦入学は慎重に

 進路指導室には連日たくさんの生徒が相談に来ています。
 そのなかに、「本校を指定校にしているのはどんな大学ですか。」と聞いてくる生徒がいます。「第一志望校はどこですか?」と聞くと「まだわからないんです。」という人がたまにいます。
 推薦入学ははっきりとした第一志望の人が受験するものなのですが、大学を選ばず、指定校で早く進路を決めたい、と考えているようです。なかには、両親から「指定校で進学しなさい。」と言われている、という人もいます。
 文部科学白書によると、平成28年度当初に大学に入学した人は618,423人ですが、その4年後の令和元年度に卒業した人は572,639人です。入学した人の92.6%が卒業したということです。その差7.4%の多くはドロップアウトと思われます。
 大学に入学してみたら、想像していたのと違ったな、と思うことは必ずあります。それでも頑張って大学を卒業するためには、志望理由を考え抜いてしっかり勉強したうえでないとモチベーションを保つのは難しいということでしょう。
 もちろん、しっかりとした第一志望であればぜひ推薦入試にもチャレンジしてほしいのですが、安易な推薦入試は生徒にはいつも戒めています。保護者の皆様にもこの点をぜひご理解くださいますよう、お願いいたします。

受験速報会

 3月18日(木)受験速報会が行われました。

 大学入試を終えたばかりの先輩達による生の声はとてもためになる内容で、在校生達は積極的に質問をしたり、メモを取りながら真剣に話を聞いていました。

 初めての大学入学共通テストを受験した卒業生達。情報が少ない中で、先輩方の報告は在校生にとってこれからの受験への取り組みに非常に役立つものになると思います。

 速報会に参加してくださった卒業生のみなさん、ありがとうございました。

 在校生のみなさん、先輩方の貴重な経験談を参考に、希望する進路の実現に向けて一緒にがんばりましょう!応援しています!!

3年次進路結果報告

 卒業式に際し、新校1期生のおもな進路実績の途中経過をお知らせします。

 こちらのPDFファイルをご覧ください。

 R02主要大学合格件数一覧0317.pdf


 3月17日現在、国公立大学32件、主要私立大学357件の合格をご報告いたします。この他にも多数の進路先が決定しています。
 今後、国公立大学後期試験結果および私立大学の繰り上げ合格があり次第、随時情報を更新いたします。