理数科
筑波大学プラズマ研究センター講演
新型コロナウイルス感染症の影響により校外実習の実施が難しい状態が今なお続いています。例年ですと10月末には、筑波研究学園都市に出向いて「筑波研修」を実施していましたが、受け入れ先との調整を進めた結果今年度の実施は断念しました。
【昨年度の「筑波研修」の様子: JAXA、NIMS (バイオミメティクス)、NIMS (超伝導)】
これに代わるものとして今年度は、昨年度の筑波研修でお世話になった筑波大学プラズマ研究センター 副センター長の假家 強 准教授にZoomによる講演を2020年10月23日にお願いしました。
核融合とプラズマに加えて、タンデムミラー装置ガンマ10をご紹介いただきました。
假家 強 准教授には、お忙しい中ご講演いただきありがとうございました。
なお、筑波大学プラズマ研究センターのタンデムミラー装置ガンマ10【外部サイトへのリンク】 については、こちら【外部サイトへのリンク】をご覧ください。
川口市立科学館研修
2020年10月9日の7時間目と放課後の時間を使って、川口市立科学館での研修を実施いたしました。
川口市立科学館は、本校に隣接する施設であることから、6時間目まで授業を受けた後すぐに全員徒歩で移動し、7時間目の「総合的な探究の時間」での実施となりました。
今回は、新型コロナウイルス感染症対策として屋上展望台に上がることができませんでしたが、プラネタリウムを貸し切りとして研修を実施していただきました。
プラネタリウムのドームを大画面スクリーンとした講義を前半に行い、後半には一般公開していないプラネタリウムプログラムにて学習を行いました。
前半は、川口市立科学館の職員の方による「系外惑星」に関する解説です。
(解説中はドーム内での写真撮影ができませんので、解説直前の写真となります。)
今回の研修は折りしもノーベル賞が発表されている週ですが、2019年のノーベル物理学賞は「系外惑星」に関する研究が受賞しました。
太陽系以外の恒星を周回する惑星を「系外惑星」と呼ぶとのことですが、ノーベル賞受賞の研究において系外惑星が観測されたことで、地球以外にも生命が存在する可能性が出てきたとのことです。
後半は、一般公開していないプラネタリウムプログラムでの学習となります。
プログラムの内容は、太陽を含めた恒星の一生についてとなりました。
(プログラム上映中はドーム内での写真撮影ができませんので、入館直後の写真となります。)
夜空を彩る星々は太陽以外の恒星ですが、その星々の色や明るさはまちまちです。
観測により恒星の温度(星の色に相当)と明るさ(絶対等級)をまとめたものが、ヘルツシュプルング-ラッセル図 (H-R 図)と呼ばれるものになります。この図から、恒星が主系列星、赤色巨星、白色矮星と呼ばれるグループに分けられるとのことです。
今回のプログラムでは、このH-R図を読み解くのに必要な知識の解説とH-R図発見の経緯、そして発見からかなりの時間をおいて分かったH-R図が意味すること(恒星の一生とH-R図の関係)について解説が大スクリーンの迫力ある映像で行われました。
このプログラムにより、H-R図には、恒星の壮大な一生が記されていることがわかりました。
今回のコロナ禍において今年度は様々な校外実習の実施ができない中、川口市立科学館の様々なご配慮により今回の研修が実施できましたことをお礼申し上げます。
川口市立科学館は、本校に隣接する施設であり、本校と同じく川口市立の施設でもあることから、今後より連携させていただき、川口市の理数教育のより一層の発展に力を入れたいと思います。
令和2年度第1回 東京大学「知の協創 実践学講座」
2020年8月6日に第1部、8月9日に第2部の二日間に渡り、令和2年度第1回 東京大学「知の協創 実践学講座『物理を学ぶ,物理を作る~高校物理から宇宙研究の最先端へ~』」が本校においても開催されました。
本講座は、例年ですと東京大学において開催され、各学校からの代表者5名程度が参加して行われていました。今年度は、新型コロナウイルス感染症の影響で実施が危ぶまれていましたが、オンライン会議を活用して参加校各校でそれぞれ開催されました。
第1部は、東京大学CoREFの研究協力員であり、本校の特別非常勤講師の 堀 公彦 先生に授業をお願いいたしました。今回は、本校の三つの教室をオンライン会議(Zoom)で結んで、堀先生に同時に三教室の授業を進行していただきました。
第2部は、川口市立高校、春日部高校、所沢北高校、日立会場の中学生をオンライン会議で結んで、東京大学 Kavli IPMU(カブリ数物連携宇宙研究機構)初代機構長の 村山 斉(むらやま ひとし)博士に授業を実施していただきました。
内容盛り沢山なので、少々長い記事になりますが、最後までお付き合いいただければと思います。
今年度は、「理数科オリエンテーション合宿」や「日本科学未来館研修」の実施が見送られ、理数科の校外型実習が実施できていませんでした。そこで、今回の「知の協創 実践学講座」を理数科の行事と位置づけ、理数科1年次と2年次を原則全員参加というかたちで大規模に実施することとしました。
1年次と2年次の「縦の交流」を大規模に実現する理数科初の行事であり、80名近くの生徒での知識構成型ジグソー法による授業に加えて、ソーシャルディスタンスを意識した教室の分散とオンライン会議 (Zoom)を活用した授業という、初めてづくしのチャレンジングな授業となりました。
第1部 知識構成型ジグソー法による授業 (2020年8月6日)
まずは、8月6日の第1部の様子です。
通常ですとこのような規模の活動の場合、本校の小ホールで活動を行うのですが、ソーシャルディスタンスを意識すると80名近い生徒が知識構成型ジグソー法のようにグループを作ったり、部屋の中を移動するのに適切な部屋がありませんでした。
そこで、40名収容の教室を三つ使って、各部屋をZoom (各部屋2カメラ体制) で結んで、今回の授業を各部屋同時に行うことにしました。
東京大学CoREFの研究協力員であり、本校の特別非常勤講師の堀 公彦 先生が授業を実施します。
今回の授業のテーマと授業の進め方について冒頭の説明となります。
まずはじめに、授業冒頭に「科学者は広大な宇宙の仕組みや成り立ちをどのように探究しているでしょう?」という問いに、各人の考えをワークシートに記入するプレ活動から始まります。
授業冒頭の各部屋の様子です。
堀先生は、三部屋のうちの一つの部屋で授業を行っています。
残り二つの部屋の様子です。
補助となる教員を配置していますが、別室の堀先生の顔や音声、スライド、他教室の様子は、Zoomを用いて各教室正面に映し出され、基本的にはそれに従って授業が進められていきます。
こちらは、同時刻の二つ目の部屋です。
こちらは、ほぼ同時刻の三つ目の部屋の様子。
正面の画面の様子。
本日の課題が映し出されています。
同時に堀先生の様子や他の部屋の様子も映し出されています。
今日の課題に向かって、知識構成型ジグソー法による授業が始まりました。
実は、上にある課題からもわかるように、宇宙物理学の研究者が理論から導き出された結論や様々な観測結果から得られた結果を統合して、宇宙の姿に迫っていく過程を知識構成型ジグソー法を通じて疑似体験する内容となっています。
まずは、グループに別れてA、B、Cの三つの資料に基づいたエキスパート活動の様子。
三部屋すべての班は、1年次と2年次の混在グループとなっています。
(2年次の先輩、ちゃんと1年次の後輩をフォローしてくれているでしょうか?)
エキスパート活動のあとは、グループが再構成され、A、B、Cの資料に関するエキスパート一人づつが一つの班に集まり、それぞれの内容をグループ内で共有して、本日の課題の解決に向かっていきます。(これをジグソー活動といいます。)
各班で話し合った内容をポスターシートにまとめていきました。
このあと、各班で話し合った内容を発表して、各班の内容を共有するするクロストーク活動を行いました。
今回は、各教室の発表を順に行こない、その様子をZoomを使って残りの部屋に投影して、その内容を共有しました。
クロストーク活動終了後は、東京大学 Kavli IPMUの大学院生である片寄さんと小嶋さんとが、Zoomのオンラインミーティングに参加していただき、クロストーク活動で出てきた質問点などにお答えいただきました。
堀先生がいる部屋とは別の部屋のほぼ同時刻のスクリーンの様子。
画面右上に堀先生、画面下に小堀さんと小嶋さん、その他は各部屋の様子(2カメラ体制)映し出されています。
質疑応答のあと、本日のまとめと第2部に関する説明を堀先生にしていただき、第1部は終了となりました。
内容の濃い一日でした。
第2部 村山先生と各校を結んだオンライン授業 (2020年8月9日)
第1部は、各校がそれぞれの日程で実施しましたが、第2部は参加校と村山先生を結んでの一斉オンライン授業となります。
本校では、第2部は本校の大ホールに全員が集まっての授業となりました。
500人収容のホールなので、ソーシャルディスタンスを考慮した座席配置でも、ホールの前半分だけで約80名の生徒が収まりました。
冒頭、村山先生のご挨拶。
Zoomにより大ホールの大画面に村山先生が映し出されました。
教室のプロジェクターとは異なり、大ホールのスクリーンは迫力があります。
講義スタートです。
我々の住む宇宙についての最先端の研究内容を高校生に分かる形で、講義していただきました。
話は進み、今回の授業の核心となったダークマター (暗黒物質) についての説明となります。
こちらも高校生に分かる形でご説明いただきました。
続いて、各校で行われた第1部ででてきた質問に村山先生が回答していきました。
高校生からの質問に、わかり易く丁寧に回答していただきました。
村山先生の授業の最後に、各校からの飛び入りの質問にも答えていただきました。
本校からも村山先生に質問を生徒からさせていただきました。
今回の講座のタイトルは、「物理を学ぶ,物理を作る~高校物理から宇宙研究の最先端へ~」となっています。
改めて、高校で学ぶ物理は最先端の宇宙物理学につながっているのだと、今回の村山先生の講義を聞いて感じました。
また、高校の物理を知っていることで、最先端の宇宙物理学を楽しむことができるということに改めて気が付きました。
村山先生との回線を切断し、最後は各校ごとにこの2日間を経験をした上で、第1部冒頭での「科学者は広大な宇宙の仕組みや成り立ちをどのように探究しているでしょう?」という問いに、再び各人の考えをワークシートに記入するポスト活動を行って、今回の授業は終了となりました。
授業の冒頭と最後で同じ問に取り組んでもらいましたが、果たして皆さんお答えはどのように変化したでしょうか。後日、堀先生と分析するのが楽しみです。
第1部では、知識構成型ジグソー法を通じて、最先端の宇宙物理学の研究者の研究のアプローチに触れることができました。
第2部では、村山先生から最先端の宇宙物理学についてわかりやすくご説明をいただき、生徒の質問にも回答していただきました。
今回の体験はかなりエキサイティングで、新型コロナウイルス感染症に負けることなく、まさしく「知的好奇心が加速する」2日間となりました。
長い記事となりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。
1年次 理数科 課題研究概論
2020年6月26日、1年次の総合的な探究の時間では「課題研究概論」と題して、これから取組む課題研究の進め方などについての概論を実施しました。
今回の講義は、お茶の水女子大学の千葉 和義 教授と植竹 紀子 先生にお願いしました。
初めに、千葉先生から課題研究へ挑むにあたって、テーマを決定する際に注意したい点についてお話をいただきました。
次に、植竹先生より課題研究の進め方などについての講義です。
続いて、テーマを決定する際に必要となる論文調査など方法について、具体的に「理科自由研究データベース」を用いた実習などを行っていただきました。
科学プレゼンテーション講座 その2
新型コロナウイルス感染症への対応により、例年とは違う形での「総合的な探究の時間」となりましたが、多くの方々のご協力により本格的な活動を徐々に始めています。
2020年6月19日の理数科1年次の「総合的な探究の時間」は、6月6日の「科学プレゼンテーション講座」に引き続き、中部大学の井上教授にお願いいたしました。
授業冒頭での井上教授からお話。
今回は、プレゼンテーションの練習をメインに行いました。
前回は隣や前後の人とペアーになっての発表練習でしたが、今回は、4人グループで3人の聴衆(グループによっては先生が入って4人)に向かってのプレゼンテーションの練習になります。
ジェスチャー・ポスチャー・ボイス・アイコンタクトをしっかり意識しての練習です。
聴衆の人数がちょっと増えただけでも緊張度はすさまじいです。
最後に、日本人初のNASA宇宙飛行士である毛利衛さんのお話を交えて、今回のようなトレーニングを行う意義についてのお話で締めくくりとなりました。
トレーニングは、本番で成功するために行うものなので、トレーニング中は失敗という名の「経験」を数多く体験し、トレーニングで失敗を出尽くすことが、本番での成功につながるとのことでした。作多くの失敗という名の「経験」ができる学校という環境で、クラスのみんなで失敗を共有し、さらに成長していって欲しいとのメッセージでした。
例年ですと、この講座は入学直後の「理数科オリエンテーション合宿」の時に半日以上、その学校で半日行われる規模の内容ですが、今年度は「理数科オリエンテーション合宿」は中止となり、井上教授には同様の内容を密度を濃くし、分割しての実施をお願いしておりました。
今年度は、まだまだ先の見えない状況が続きますが、多くの方々のご協力をいただきながら理数科の活動を継続していきたいと思います。
科学プレゼンテーション講座 ~つづき~
科学プレゼンテーション講座の活動内容報告の続きです。
今回の科学プレゼンテーション講座は、いわゆるパワーポイントの使い方講座ではありません。
発表をするのに大切なことは何なのか、コミュニケーションとは何なのか、プレゼンテーションの型とはどのようなものかを練習を踏まえながら、体験を通じて習得していきます。
スライドを追加して隣の人に対して発表練習中。
練習の回を重ねて、発表自体に熱がこもってきました。
今日作ったスライドが完成しました。全体を通しての練習をしています。
最後に代表者3名がみんなの前でプレゼンテーションを行いました。
始まった時には、戦々恐々としていましたが、今日の90分2回の計180分の授業の終わりには、堂々と発表が行えるまでに成長しました。
ほかの人とコミュニケーションをとったり、人前で発表する機会がますます増えてくるので、今日の内容が今後の活動に多い役立つことと思います。
科学プレゼンテーション講座
新型コロナウイルス感染症に伴う緊急事態宣言が解除され、本校も徐々に教育活動を活性化していっています。
本日は、理数科1年生を対象とした「科学プレゼンテーション講座」を実施しています。
今回も中部大学 井上徳之 教授にご指導をお願いしております。
まずは、プレゼンテーションにおける「4つのテクニック」についての説明です。
先端科学が書かれた書籍から今日プレゼンテーションしたい内容を選びます。
書籍選びもグループで重ならないように、アイコンタクトやジェスチャーを使いながら自分たちで選んでいきます。
書籍の中には6つのテーマについて書かれています。この中から自分が興味のあるものを選び、今日のプレゼンテーションのテーマとします。
隣の人に書籍から自分が選んだ内容のタイトルを示すところからプレゼンテーションの練習開始です。
現在、この記事を書いている時点で授業はまだ始まったばかりです。
この先内容はまだまだ進んでいます。
授業が終わったところで再度ご報告いたします。
1年理数科課題研究 中間発表
2020年2月14日 (金) 6限、2020年3月10日 (火) に1年生理数科課題研究の中間発表を行います。現時点の1年生の課題研究では、科学的な仮説を立てて、研究テーマを決定し、研究の目的・方法までを組立てることを目指しています。
本日2月14日は、お茶の水女子大学 千葉 和義 教授、中部大学 井上 徳之 教授、TAKE国際技術研究所 黒澤 兵夫 様のお三方にご講評を頂く形で、全10班中5班が発表を行いました。
川口市立上青木中学校科学部 電子顕微鏡実習
1月初頭から3月初頭にかけて本校に卓上低真空走査型顕微鏡が設置されています。
日立ハイテクノロジーズ様によるCSR活動の一環として、昨年に引き続き本年も設置していただきました。
県立でも私立でもない市立高校の強みとして、市内の公立中学校の皆さんにこの電子顕微鏡を使っていただくことにしました。
今回は、川口市立上青木中学校の科学部の皆さんが、それぞれ見たい試料を持ち寄って本校に設置してある電子顕微鏡で観察を行いました。
まず初めに、本校の羽二生教諭による電子顕微鏡の概要説明と簡単な取り扱い方法の説明を行いました。
この後の電子顕微鏡の操作や観察は生徒の皆さんにほとんど全てお任せすることになります。
ある班の試料台に乗せた試料です。
生徒の皆さんが自分の手で電子顕微鏡を操作して、試料を観察しています。中学校の先生も本校の教員も基本的にはノータッチの状態で、生徒の皆さんに自由に使ってもらいます。
通常は、顕微鏡に接続されたパソコン画面に電子顕微鏡の映像が出てくるのですが、全員で観察するには小さいので、ガラス黒板にパソコンの画面を投影してみんなで電子顕微鏡の映像を観察しています。
皆さん初めての体験で楽しそうに活動をしていました。
生徒の皆さんだけで活動をしているので観察がうまくいかない場面もいくつかありました。その場合は高校教員がフォローしますが、うまくいかないことも大事な体験です。
今回の体験を通じて、ミクロの世界にさらに興味を持ってくれればうれしい限りです。
理数科課題研究概論
理数科1年生は、2年生での本格的な課題研究の実施に向けてお茶の水女子大学と連携して「課題研究概論」の授業を実施しています。
今回は「分析化学入門 ペーパークロマトグラフィーの基礎 ~課題研究の進め方を学ぼう~」と題して、お茶の水女子大学エデュケーションセンターの植竹紀子先生による実験実習です。
今回は、水性ペンのインクをペーパークロマトグラフィーで分析する実験を行います。
植竹先生による実験手順の説明の様子です。
1回目の実験の結果と考察をワークシートに記入しました。
左側のろ紙は水性黒インクを水で展開したもの、右側のろ紙は同じインクをメタノールで展開したものです。色がきれいに分離していますが、明らかに双方に違いがあります。
今回は、ここからが本番。
最初の実験を受けて、エタノールで展開したときに赤色はどこに行ったのだろうということを考え仮説を立てます。その仮説に基づいて、それぞれの班で赤色を探す実験を考え、実際に行ってみます。
こちらは最初の点にまだ赤色が残っているのではないかと考えて、エタノールで展開したろ紙の出発点だけを切り取り水の中に入れてみました。
大きいろ紙で実験中。
エタノールと水の2種類の展開液で平面的に展開してます。
それぞれ考察をワークシートにまとめています。
通常の授業での実験のようにあらかじめすべての手順が決められているわけではなく、実験結果に基づいて自ら考え、次の実験を展開していくという今回の実習を通じて、課題研究の進め方を体験することができました。